既存壁式プレキャスト鉄筋コンクリート(WPC)構造の集合住宅は80万戸以上存在し,うち47万戸が1980年以前に建設されました。これらの集合住宅は,躯体は今後数十年の使用に耐えうるほど健全でありつつも,狭小で画一的な住戸プランが現代の多様なニーズに適合せず、また、エレベータのない非バリアフリーといった問題を抱えています。これに対して、既存壁への開口新設やエレベータと共用廊下の増設を含めた大規模改修のための耐震性能評価および技術開発を行っています。同じ時期に建設された現場打ち鉄筋コンクリート構造集合住宅では、適切な改修を施した大規模改修の事例は存在しますが、WPC構造集合住宅では改修技術が未整備で改修計画が滞っています。これまでに、1/2スケールの耐震壁実験や接合部の実大実験などを実施し,得られたデータを基に建物の解析モデルを作成し,改修前後の耐震性能評価を進めてきました。